タイタニックのクルーたち
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◆マードックの遺品◆(タイタニック就航100周年記念)
タイタニック就航100周年記念の記念の年に、敬愛するウィリアム・マクマスター・マードック一等航海士の遺品というBIGニュースが飛び込んできました。
総力特集します!記念すべき100周年にこのような驚きと興奮のニュースを、皆様とわかちあえる喜びと、感謝を込めて。2012年4月3日、タイタニックのウィリアム・マクマスター・マードック航海士の遺品が、北大西洋2.5マイル海底の沈没現場から発見されたとAP通信が伝えました。見つかった品々は、パイプ、靴ブラシ、かみそり、航海士用ボタン、肌着、パイプで、これらのものがマードック航海士のものであると伝えています。これらは、4月6日から開催される「プレミアム・エキシビジョン(アトランタ)」で公開されます。マードック航海士の家族に連絡をとろうとしたらしいのですが、とれなかった、と記事は伝えています。甥にあたるサミュエル・マードックさんは2010年に亡くなっています。回収にあたっては、条例により「船内からの回収」はできませんが、これらの品々は「船体の外側から」引き上げられました。引き上げは2000年でしたが、マードックのものであると判明したのはごく最近のことです。では品々と手掛かりを見てみましょう。:
@イニシャル:皮製小物入れ(洗面道具セット)に、型押し加工で「W.M.」のイシシャルが入っています。(「W.M.」のイニシャルの乗員リストは下記参照)
Aボタン:スペアの航海士用のボタンが入っています。ホワイト・スター・ライン社では、制服を支給していましたが、ボタンは個別買いだったそうで、このボタンは航海士用のボタンと同等のものであす。ボタンには航海士用、スチュワード用と3種類があり、私も同社の同年代のものを保持しています。参照「コレクション:1910年代のホワイト・スター社航海士用ユニフォームのボタン(本物)」コーナー
Bカミソリ:元々は立派な口ひげがありましたが、結婚後オリンピックに乗船の頃から、ひげは無くなっています。カミソリは必要だったでしょう。
Cパイプ:彼はたばこを吸っていたという記録があります。私自身も彼のパイプ姿をどこかで見た記憶が。。。ゴメンナサイ、資料が見当たらない、パイプ姿って思い込みかな(汗)
D肌着:ズボン下のようです。寒い中(ドアのないブリッジ)での深夜の当直では、きっと欠かせなかったでしょう。
◎イニシャル入り洗面道具入れ
◎航海士用スペアボタン ◎パイプ
◎かみそり
◎イニシャル・リスト:航海士用ボタンを持っていたことから、下記のうちのデッキクルーであるマードックのものと判定したと思われる。
Newsでは、1997年公開の映画「タイタニック」の中では賄賂を受け取ったり史実とは異なる人物として描かれているマードックですが、公開後には20世紀FOXがマードックの遺族と故郷の街へ謝罪した件についても触れています。
マードックは最期の瞬間まで避難誘導をして多くの乗客の命を助け職務を全うして命を落とした英雄として、これからも語り継がれるタイタニックの歴史の1ページに名前を残すことでしょう。
最初にマードックの遺品の記事を見つけた時には、なぜ彼のものと特定できたのかは触れていませんでした。
「マードックの手紙」以外で彼自身のものと特定されたタイタニックからの遺品はこれが初めてであり、おそらくこれ以上の発見はないものと思います。
このイニシャル「W.M.」の記事にたどり着いた時の驚嘆、痛いくらいの胸の高まり・・・あぁ願わくばいつの日かこの目で触れてみたい・・・
2012年4月15日、タイタニック就航100周年に寄せて
智恵
Sources:
Titanic artifacts linked to officer (3 April 2012, AP News)
Artifacts linked to officer on display (3 April 2012, Washington Post)
www.encyclopedia-titanica.org
Murdoch artifacts recovered from Titanic wreck [YouTube]