「タイタニックのクルーたち(chie's Titanic Officers)」豪華客船タイタニック(Titanic)の歴史、史実、乗組員、クルー、航海士(特にマードック航海士)機関士・設計士・通信士を紹介。自殺の謎、映画の中の航海士、コレクションなど。by智恵-ちえ-
 タイタニックのクルーたち
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◆ 悲劇の作家 ジャック・フットレル(Jacques Futrelle) ◆


タイタニック就航98周年の記念企画として、タイタニックの事故で亡くなった悲劇の作家、ジャック・フットレルのページをUP致します。
代表作品「思考機械」や略歴も紹介致します。

古典的ミステリーの時代が終わり、コナン・ドイル作のシャーロックホームズの登場によって新しい探偵小説の幕開けとなった19世紀末から20世紀初頭には、短編小説のシリーズものが次々と発表されました。イギリス人作家の手による名探偵が登場する中、アメリカで1905年に登場し たのがジャック・フットレル作「思考機械(The Thinking Machine)」のオーガスタス・S・F・X・ヴァン・ドーゼン教授教授です。

私がこの「思考機械」の作品「十三号独房の問題」を読んだのは全く偶然で、江戸川乱歩が編さんした「世界短編傑作集 1」 (創元推理文庫)という単行本からでした。 19世紀から第二次世界大戦までの推理小説の作品集で初版は1960年、この文庫本を自分で買った記憶がないので、もしかしたら去年亡くなった父が買っていたものだったのかも…時代が時代ですから、ある種オールドファッションの雰囲気がありますが、そのあたりは差し引いて読みました(^^)
さてこの思考機械とこオーガスタス・S・F・X・ヴァン・ドーゼン教授(Augustus S. F. X. Van Dusen)、風貌やキャラクターもかなり強烈です。
私が読んだ「十三号独房の問題」という作品は、特に強盗犯も殺人犯も出てきません、いわゆる脱獄ものなのですが・・・。
どこかユーモアを感じる作品となっていて、その雰囲気がとても良かったです。

作者のジャック・フットレルは、1875年4月9日にアメリカ・ジョーア州に生まれました。フランス人系アメリカ人で、お父さんからフランス語も習っていたようです。18歳にアトランタ・ジャーナルでの仕事を得た後、20才で作家のリリー・メイと結婚、その後はリッチモンドの劇場のマネージ ャーとして迎えられ、劇作家兼俳優としても活躍したようです。2年後にボストン・アメリカン誌に編集者になり、ここで彼の「思考機械」シリーズが発表されていきました。彼はこのシリーズの他にもいくつも小説を発表し、有名作家として成功してゆきます。またメイ夫人との合作も発表されて います(『幻の家』)。

1912年、フットレル夫妻は数週間ヨーロッパ旅行へ出かけます。
イギリスからの帰路の最後の日、ジャックの友人たちが彼の為に37才の誕生パーティーを開き、深夜すぎまで大いに盛り上がっていたようです。
そしてメイ夫人と共にサウサンプトンより一等船客としてタイタニックに乗船、事故に遭遇します。救命ボートDに夫人を乗せ、「後で別のボートに乗るから」と告げたのが最後の別れとなってしましました。彼と共に、何篇かの書きかけの原稿も失われたそうです。メイ夫人が夫を最後に見たのは、ジョン・J・アスター氏とシガレットを吸う姿だったそうです。
メイ夫人は彼の死後に出版された彼の作品「My Lady's Garter 」に「タイタニックの英雄たちに、夫のこの作品を捧げます」と記しています。


代表作; "The Thinking Machine", "The Thinking Machine On The Case", "The Diamond Master" "The High Hand".

下記は日本で翻訳出版された本です(発表当時とは違う形で編成されているようです。)。
日本でのコピータイトルに「ホームズのライヴァルたち」という言葉がみられますね。
彼が長生きしていたら、他にどんな作品を送り出していたのでしょうか?

  世界短編傑作集〈1〉江戸川乱歩 編 創元推理文庫(東京創元社)
江戸川乱歩編集の7編のアンソロジーです。フットレル作は(6)デス。

(1)コリンズ「人を呪わば」
(2)チエホフ「安全マッチ」
(3)モリスン「レントン館盗難事件」
(4)グリーン「医師とその妻と時計」
(5)オルツィ「ダブリン事件」
(6)フットレル「十三号独房の問題」
The Thinking Machine (The Problem of Cell 13)
(7)バー「放心家組合」
  思考機械の事件簿 1 (シャーロック・ホームズのライヴァルたち)
ジャック・フットレル作(創元推理文庫)

「《思考機械》調査に乗り出す」
「謎の凶器」
「焔をあげる幽霊」
「情報洩れ」
「余分の指」
「ルーベンス盗難事件」
「水晶占い師」
「茶色の上着」
「消えた首飾り」
「完全なアリバイ」
「赤い糸」
  思考機械の事件 2 (シャーロック・ホームズのライヴァルたち)
ジャック・フットレル作(創元推理文庫)

「呪われた鉦」
「幽霊自動車」
「復讐の暗号」
「消える男」
「跡絶えた無電」
「ラジウム盗難」
「三着のコート」
「百万長者ベイビー・ブレイク誘」
「モーターボート」
「百万ドルの在処」
「幻の家」(問題編夫人作・解決編フットレル作の、夫婦共作)
  思考機械の事件簿 3 (シャーロック・ホームズのライヴァルたち)
ジャック・フットレル作(創元推理文庫)

「消えた女優」
「ロズウェルのティアラ」
「緑の目の怪物」
「タクシーの相客」
「絵葉書の謎」
「壊れたブレスレット」
「金の皿盗難事件」

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