タイタニックのクルーたち
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◆現在の機関士の仕事◆
船のエンジンルームでは、機関士たちはどのような仕事をしているのでしょうか?
現職の機関士ichiseさんが、お仕事について寄稿して下さいました。初心者にも分かり易い解説になっています。ichiseさん、ありがとうございました。
現在の仕事風景を通して、タイタニックの時代の機関士たちに想いを巡らせてみましょう。
1:概要
航海士が船の運航に携わるのに対して、機関士は 船に取り付けられた様々な機械を操作し点検・整備故障が起きた場合は修理するのを職務としています。
重要な仕事の一つとして、ブリッジの指示に従い 主機関を操作し、安全に船を運航する義務があります。
航海士が帆船時代からあるのに対して、機関士という 職務が生まれたのは帆船に蒸気機関が取り付けられ機械の操作に人手が必要になってからです。
航海士が属する船の部門を「甲板部」というのに対して 機関士が属する部門を「機関部」といいます。機関部の最高責任者は、機関長であり機関長の下には 各機関士(タイタニックの場合25名)がいます。
各機関士は当直時間中はブリッジの機関操作の指令 どうりに主機関を操作し、各機関士ごとに割り当てられた機械の点検や整備をする事になります。
現在の一般的な船では次のようになっています。
機関長 機関部の総責任者 1等機関士 主に推進機関(主機関)の担当
当直時間は4−8時、16ー20時2等機関士 主にボイラー(注2)や発電機(注3)の担当
当直時間は0−4、12ー16時3等機関士 主に電気関係や冷蔵装置・小型の機器類の担当
当直時間は8−0、20ー24時4等機関士 上記機関士の補佐 注)船によって違う場合があります。
タイタニックではこれらの機関士の他に冷蔵装置専門の 機関士(engineer refrigerator)や電気機器専門の機関士 (engineer electrician)など多数の機関士が乗船していました。船を走らせるためだけでなく、乗客に快適に船旅を過ごして もらうためにはたくさんの機械が必要であり、その機械を扱う機関士も大勢必要だったわけです。 [戻る]
2:当直(ワッチ)について
基本的には当直は4時間交代で、1,2,3等機関士がいる船では3人で一巡しています。4等機関士以下はそれぞれ1,2,3等機関士と一緒に当直に入ります。(合いワッチといいます)現在では普通は3等機関士までです。(練習船・客船などは別)
機関長は船長と同じで基本的には当直に入りません。(管理職のため)
小型船で機関士が少ない場合は機関長が3等機関士の時間帯に当直を勤め、逆に大型船の場合、主席首席一等機関士も当直に入らないこともあります。
一般的な中型船での当直の割り振り
英語の書き方とかは石炭炊き時代の名残が残っておりおもしろい物です。[戻る]
当直に入らない人員 機関長
操機長(機関部員の最上級者)[No.1 OILER]
操機次長(部品管理)[Store Keeper]当直者
0−4 2等機関士
操機手[Oiler] 機関員[FireMan若しくはWiper]4−8 1等機関士 操機手 機関員 8−12 3等機関士 操機手 機関員 12−16 2等機関士 操機手 機関員 16−20 1等機関士 操機手 機関員 20−0 3等機関士 操機手 機関員 [0−4]とは午前0時から午前4時までです。)
3:基本用語
主機関 船を走らせるプロペラを回す船内で一番大きい機械です。
タイタニックの場合3台あり、あわせて4万6千馬力でした。
(一般的な自動車のエンジンは100馬力程度です。)
ボイラー 水を石炭(石油)を燃やすことによって加熱し、蒸気を発生させる装置です。
石炭を供給するため多数の火夫が必要だった時代もありました。
その時代は真に船を走らせていたのは彼らだったといえるでしょう。
発生した蒸気は主機関を動かし船を走らせたり、発電機に送られ電気を起こしたり、暖房や温水を作るのにも使われます。
発電機 文字どおり電気を作り出す装置です。
電灯が船に取り付けられたことによって、快適な船旅が楽しめるようになりました。
その他調理機械や通風装置無線機械など様々な機械に電気を送っています。